プライバシーの侵害だ

匿名劇壇という劇団を主宰する福谷圭祐のブログ。このブログは基本的に自分のためだけに使おうと思います。考えをまとめたり、情報を整理したり。ま、もちろん他人の目に触れることは意識して書くけれど。 でも、あまり読まれたくはない。だからタイトルは、 「プライバシーの侵害だ」 。

「ゆっちーを捨てにいく」感想

お世話になっております。

 

がっかりアバター「ゆっちーを捨てにいく」を観ました。とても面白かったので、感想という訳でもないが、感じた想いを綴っておこうと思う。がっかりアバターが自分にハマったとき、「わかるわかる、全部わかる」状態になる。これを僕はIQマックス状態と呼んでいるが、そこに連れて行ってもらえたのは「啓蒙の最果て、」という作品のみだった。

 

実は、そのほかのがっかりアバターの作品は、「アンディさん、やっちゃいましたね」と言って帰っていることがほとんどだったりする。初体験はスペースドラマの「あくまのとなり。」で、これはある一定のレベルで評価したけど、分析を超える感動みたいなものはなかった。というより、そんな経験ほとんどしない。稀なことに自分もクリエイターであることを忘れて、「IQマックスや…」と言わせてくれたのが、「啓蒙の最果て、」だったのである。

それ以外はほとんど「アンディさん、やっちゃいましたね」と言って帰っている。

この町バスも、キングオブシアターも、僕には良くわからなくって。

 

「啓蒙の最果て、」はすごかったのである。もしかすると、僕の観た回だけで、僕だけが感じた気持ちなのかもしれない。だけど、あの劇で「なんでこの子が泣いているのかわかる」「なんでこの子の目線が今あっちに向いたのかわかる」「こいつらの過去が全部わかる」「わかるわかるわかるわかるわかる」となった体験は、本当に刺激的だった。

……ちょっと過去を美化&戯画化しすぎているかもしれないが。

 

さて、「ゆっちーを捨てにいく」。

そんなふうに、僕はがっかりアバターの評価がグラグラだったので、今回はどっちだろうなとワクワクしながら劇場に行った。結果、がっかりアバターの面白い方のやつだった。なんども泣きそうになった。ちょっと泣いた。

もう、わりと序盤でこっちはIQマックスになっていたから、一場というか、最初のシーンが終わった時点でちょっと泣きそうだった。ちょっと泣いた。わかる、と思って。緑のもじゃもじゃのが出てきたときも、出てきた時点でちょっと泣きそうだった。わかる、と思って。

この緑のもじゃもじゃのこと、俺知ってる、と思って。キングオブシアターのときはよくわからなかった。でも今回は、こいつのこと全部わかった。

 

ゆっちーは、イマジナリーフレンドなんですよ。

がっかりアバターがハマったとき、完全に自分の個人的な体験とリンクさせて「わかるわかるわかるわかるわかる」モードに入るんです。あのね、僕もゆっちーを捨てにいったことあるんですよ。そうしないと、親が殺されるかもしないから、ゆっちーを捨てにいったことがあるんです。捨てにいった森で、歌って踊ったこともあるんですよ、僕。

僕もう、全部わかる。こいつらの体験全部わかるんです。

 

「わかるわかるじゃなくて、何がどうわかったのか説明してください」

そういわれても、困る。説明なんてできない。アンディさんの比喩表現に乗って、「ほら、ゆっちーを捨てにいったことあったやん!」としか言えない。僕はあの時間を経たことがある。森に行く途中でラーメン屋に寄ったことがある。そこで、ほんの少しだけ、心の準備をしたことがある。

 

端的に言えば、少女版ファイト・クラブだと思って観ていました。

まあでもそんなことはどうでもいい!ゆっちーは、俺のゆっちーだから!俺自体が「ゆっちーを捨てにいく」だから。俺自体が全部あの話。

 

広瀬さんはお上手だけど、やっぱり時間がなかったので、器用さばかりが目立っていた。それで十分だけど、不器用でいいから夢子さんもまた観たい。

長谷川さんは目を隠してたせいで、面白さが100倍になっていた。長谷川さんは目を隠すとあんなに面白くなるのか。すごくシンプルでよかった。長谷川さんは一生仮面をつけておいたほうがいいかもしれない。

 

とっても面白かったです。マル!

 

(了)