お世話になっております。
最近、インターネット上の情報の削除は求められるか云々の件で、裁判所が基準を出した。「はぇー、そういう考え方するのかー」とびっくりしてしまった。ざっくり言うと、「グーグルの出した検索結果は、グーグルの作ったアルゴリズムによってもたらされた〈表現〉なのである」みたいな。そんで「プライバシーの侵害」と「表現の自由」を相互に考慮して、案件ごとにバランス読んで判断していきますねー、みたいな基準。なんかこう、検索結果が〈表現〉とされたことに「はぇー」と思った。
そんで、次にドキッとしたのがさ。グーグルが、検索結果のクオリティ向上のために、いわゆる「まとめサイト」が下位にくるようにエンジンを改良したのね。ユーザビリティ的には、求める情報に辿り着きやすくなって便利になったと思うんだけど。
これってつまりさ、現時点でグーグルがね、「検索結果の品質向上のため、[人名]が検索された場合、wikipediaなどの不確かな情報でなく、公的機関により開示されている情報(逮捕歴など含む)を優先して表示するようにアルゴリズム組み直しました」って言ったら、とりあえず「そういう〈表現〉だから、やめてくれとは言えないねえ」となるわけです。
あとはもう、グーグルさまが平等であることを願うばかりだよね。
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三年前くらいからかな。パズドラの魔法石200個プレゼント!とか、パワプロのパワーストーン1000個プレゼント!という謳い文句から、ポイントサイトに誘導する軽い詐欺行為が流行ってさ。「まとめサイト風広告」から多くの人(主に低年齢層)が騙されたわけだけど。最近では「まとめサイト風広告」もずいぶん減ったし、落ち着いたように思ってた。
すると最近「牛角食べ放題20000円分プレゼント!」でポイントサイトへ誘導するツイッター広告が出てきたそうだ。ほんと、感心する。手法はそのままで、ターゲットだけうまいことスライドさせやがったわけだ。
「パズドラの魔法石に惹かれる層」と「牛角食べ放題に惹かれる層」は、多分ほとんど重なり合ってなくて。だから、知らないんだよ。牛角に惹かれた人は、パズドラの魔法石やらパワーストーンやらで釣って、キッズがポイントサイトへ誘導された最近の流れを。
こうなってくると、プロ野球観戦チケットに釣られる層はまだ残ってるし、ルブタンスニーカープレゼントに釣られる層も全然残ってるわけでさ。多分、この軽い詐欺的なポイントサイト誘導広告、「何で釣るか」を変えるだけで、まだまだ相当使えるよね。ほんと、うまいこと重ならないんだな、喜ぶ層が。魔法石、牛角、プロ野球、ルブタン。(僕は魔法石!)
これがまた、実際ポイントサイトはポイントサイトだから、ザ・詐欺ってほどでも無いわけで、息が長いですよねー。「まとめサイト風広告」は2ch騒動のごたごたからの自粛で減ったけど、ツイッターのプロモーション広告もどうかと思うけどね、俺は。あれってまるで、「自分の信頼するフォロワーが、リツイートかいいねをしてタイムラインに表示されたツイート」に見えるもんね。というか、明らかに恣意的にそういう見え方をするように作ってんだよなァ…。「広告」なんだから、「広告」然とした見え方をしないとダメだよ。
まったく、青汁のコマーシャルじゃないんだから。
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Youtuberで、かずきむぎちゃさんという人がいる。POLINKEY MOVIEというチャンネルで、それこそはじめしゃちょーさん台頭前夜や、UJXさん(現seiya)の全盛期を共に過ごしていた人だ。わりと炎上系にくくられてるが、基本的にはアングララッパー系Youtuberって感じかな。ここ一年くらい動画以外の活動に力を入れていたみたいだが、つい先日、この方が目を疑う動画をアップした。
懲役行く事になりました
中身については、よくわからないので無視する。しかし、すごい時代になったと思った。シバターさんを元祖とする「モノ申す系youtuber」の系譜にはいた彼。この日本のYOUTUBEにおいて、いやYOUTUBEだけでなく、「モノ申す」と「モノ申される」が完全に表裏一体になってしまっているこの時代。一億総ツッコミ時代であり、一億総ツッコまれ時代であるという現代社会を、こんな乗りこなし方をするのか、彼は。
すげェな。……正直、バカじゃねェの?とは思う。
でも、たぶん、彼はバカじゃなくて、僕よりも優秀。ほぼ間違いなく現時点で僕よりお金を稼いでいるし、きっと未来もそうじゃないかな。少なくとも彼は、誠実な晒し者だ。誠実な晒し者に、どんなモノを申せよう。返されるのは「俺はこうだから」というビッグダディ由来成分配合の最強の一手だ。もちろん、これで彼の人気ががた落ちして、未来永劫誰とも商売できませんとなると最悪だけど、たぶん、そうはならんだろーな。彼、誠実だから。犯罪者だけど。
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少年Aの取った一手が、どれだけ時代遅れでどれだけサムい一手だったか、よくわかるよね。彼は不誠実だった。……。
……僕なら、そうだな。テレビに生出演でも何でもして、反省をアピールする。そして、こう語ろう。「こんな僕でも、幸せに生きたい、どうしてもそう願ってしまうんです。誰かに認めてもらいたい、存在を受け入れてもらいたい、そう願ってしまうんです。いけないことだとわかっています。だから、もし、宮根さん、スタジオにいる皆さん、これを見ている視聴者の方々、僕を許しがたいのであれば、僕を殺して下さい。反省しています。反省しても、反省しても、生きたいと願い、幸せを望んでしまいます。こんな僕を、殺したいという人が一人でもいるなら、僕を殺して下さい。……ちなみに遺族の方々とは連絡がとr」
と、突如スタジオに乱入してきた黒いジャンパーの男に刺されて死ぬ。
そして息絶えながらこう思う。まるで主人公みたいに、モノローグでこう思う。
「あぁ、やっぱりダメだった。僕は、世界に、受け入れられなかった。でも、仕方ない、か」……なーんてな。なんだよ、世界って。
どうだいこの、気持ち悪くて最低な、自己顕示欲にまみれた身勝手な死に様は。だけど、僕なら、そうするかもしれない。自分の「認められたい」という欲望と誠実に向き合って。……あのね、少年A。基本的に世の中は、君にモノローグを許さないんだよ。君のモノローグは、僕たちのものなんだ。だってそうだろ? 君はもう、主人公じゃない。
つい最近、そんな芝居を観たよ。
メイド・イン・ジャパン。……そんな芝居じゃなかったかな?
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モノローグを奪われた少女と、ダイアローグを奪われた少年。
少女 ねぇ、ねぇ、見て!キレイなお花だよ!
少年 そう言って彼女は僕に花を差し出した。
少女 まだ彼女じゃないでしょ!何言ってんの、もう!
少年 ……僕はただ単に、第三者の、という意味で彼女という言葉を使ったのだが、彼女はそれに気づいていないようで、妙に頬を赤く染めている。どうしたものだろうか。
少女 そっ、そんなのわかってるし!バーカ!
少年 彼女はいつも元気で明るい。僕にたくさん話しかけてくれる。だけど、僕は返事ができない。神様に対話を奪われて以来、こうして独白することしかできなくなってしまったからだ。返事をすることができず、頭の中でくゆらせた思いを言葉にしていく。
少女 それでもいいよ。
少年 それでもいい、という言葉の意味が分からず、困惑した。
少女 あたしがそばにいてあげる。
少年 そう言って寄り添ってくれた彼女は、一体、何を考えているのだろうか。独白を奪われた彼女は、僕に話しかけることでしか言葉を発することができない。……ほんの少し、いたずら心が湧いた。僕は立ちあがって、彼女のもとを去った。
少女 ……………………………。……………………………。……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。
少年 それから悠久の時がたって、僕はここに戻ってきた。
少女 ……寂しかったぞー!!!!!ばかー!!!!!
少年 かわいいな。
少女 え?
少年 と、思った。
END
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なにこの、可愛い話……。
やってもうた…。STORY FOR TWOに置いといたらよかった……。テンションあがってブログで垂れ流してしもた……。
ま、平気でSTORY FOR TWOでも使うけどっ☆
(了)