プライバシーの侵害だ

匿名劇壇という劇団を主宰する福谷圭祐のブログ。このブログは基本的に自分のためだけに使おうと思います。考えをまとめたり、情報を整理したり。ま、もちろん他人の目に触れることは意識して書くけれど。 でも、あまり読まれたくはない。だからタイトルは、 「プライバシーの侵害だ」 。

遊びを、ぶっ壊す。

お世話になっております。

 

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。新年の抱負は特になく、昨年の反省はプルーストが八人がかりで取り掛かっても完結しないので、そういうのは特に書かないことにします。

 

ナンジャモンジャというゲームを知っているだろうか。

ロシア生まれのカードゲームだ。全部で12種類の不思議なキャラクターの書かれたカードが、4枚ずつある。それを順番にめくって、出てきたキャラクターに名前をつけて、次に同じキャラクターが出た時に、その名前をいち早く言えた人が勝ち。

これが単純だが、とても面白かった。劇団員の杉原とニシノと三人で遊んだのだが、大いに盛り上がった。大して仲良くもなかったのだが(←オイ(←初めて使った(←二度と使わない

 

例えばこんなキャラクター。

 

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こいつに、そうだな、「赤色ふさふさ二郎丸」と名付けるとする。そして繰り返してカードを引いていき、実にさまざまなキャラクターがいるわけなので、「グリーンまめ千代助」だの「ストロベリーアイキャッチ」だのさまざまな命名が為されていく。

 

そして、またコイツが出たとき、いちはやく叫ぶのだ!

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×赤いマールボロみーつけた!

○赤色ふさふさ二郎丸!

 

これが案外難しい。やはり楽しく遊ぼうとしてしまうため、単純な命名はしない。なかなかどうして、覚えづらい名前をつけてしまうものなのだ。そしてそれを自分だけが記憶しておこうと心に留めるのだが、ナンジャモンジャ、あっという間に何だったかわからなくなる。頭に浮かんでも、口からスッと飛び出てくれないことも多い。

 

僕らはこのゲームでしばらく遊んだ。5回戦ほど戦っただろうか。1回戦ごとに名前はリセットされているが、僕らの記憶の中にはひとつのキャラクターにつき5種類の名前が存在する状態ができあがった。そして、誰かがこう言った。

 

「じゃあ、次のゲームは、5種類の名前全部言うことにしようや」

「5種類、全部?」

「そう。ほら、こいつ、最初は”赤色ふさふさ二郎丸”やったけど、次の対戦では”鬼”、その次は”カリフォルニアセサミストリート”やん。それを、全部言った人が勝ち」

 

実際にやってみた。

しかし、5種類全てをスラスラ言えるやつはいなかった。どうしても、思いだせる名前と、思い出せない名前が出てきてしまう。そして、こうルール変更した。

 

「じゃあ、5番目の名前を言った人が勝ち」

 

さて、これでゲーム性が格段に上がった。できるだけ他のやつに名前を言わせ、自分だけが覚えている名前で5番目を勝ち取りたい。心理戦のできあがりだ。下手に名前をひとつふたつ吐き出してしまうと、そのままスルスルっと最後まで名前を言われてカードを取られてしまう。かといってお見合いになっても仕方ないので、5種類全てを一気に思い出し一気に大声叫ぼうと試みたりする。サイコーに面白かった。

 

名前を思い出すだけのゲームが、「名前をいかに思い出し、いかに宣言するか」のゲームに成長した。その一戦を終えたとき、僕たちはよくわからない高揚感で、ひたすらに笑い転げていた。……のだが。

 

そう。その後、僕たちはこのゲームをまともに楽しめなくなってしまった。5種類の名前を心理戦の中で宣言するという高度な遊びに発展させてしまったため、「通常」のルールで遊んでも、なにひとつ楽しくなくなってしまったのだ。再度5種類の名前をつけようにも、一つのゲームの中で一気につけると、当然誰も覚えられない。結局のところ、一回一回はきちんと「通常のルールで」遊ばねばならず、そしてそれは僕らにとってすでに退屈で、五回も繰り返すことなど苦痛でしかなかった。

 

ナンジャモンジャが、ぶっ壊われた瞬間だった。

 

僕は、昔のことを思い出していた。こういうことが、良くあった。高校生の頃、仲の良い友だちがいて、今でも遊ぶ仲だが、彼と遊んでいる時、こういうことが良くあった。せっかく楽しい遊びを見つけても、”楽しさ”を追い求めるあまり、結局二度とその遊びが出来なくなるほどルールをぶっ壊してしまうのだ。具体例は思い出せない。だけど、感覚として肌に刻み込まれている。なんだかとっても、ノスタルジーでセンチメンタルだった。

ミニ四駆ベイブレードを、酷使しすぎて壊す、のとはまた違う。ミニ四駆のスピード勝負自体をパロディ化して、「じゃあ逆に遅くゴールしたほうが勝ちにしようぜ」などといい、壊れないかつ前進するギリギリの重さの何かを公園で見つけようとする行為にそれは似ている。やがて、絶妙の重さの石を発見する喜びや、タイヤに草を絡ませる没頭など、”楽しい”が完全にシフトしてしまう。それはサイコーに面白いが、単なるスピード勝負よりも面白すぎて、二度とスピード勝負で遊べなくなってしまうのだ。こんなことはしたことないが、こんな感じのことは今までにたくさんしてきた。女遊びも含めて(←オイ(←オイ

 

僕たちは壊れたナンジャモンジャを切なく見つめた。

その後、キャット&チョコレートというカードゲームで遊ぶことにした。このゲームは二回目にして無残に破壊された。正直、もともとのルールが跡形もなくなった。しかし、そっちのほうがはるかに面白かったのだ。これはまた、別の機会に書こうと思う。

 

そうだ。ちなみに、匿名劇壇では”大富豪”もぶっ壊している。トランプゲームの大富豪。最後に、僕らが壊してしまったルールを記載しておこう。是非、遊んでみてほしい。

 

ネオ・大富豪

このゲームでは、2を除く全てのカードに能力が付与される。階段や革命、縛りなどのローカルルールは全て適用。ジョーカーも二枚含まれる。

 

1 

【能力名】エースリバース

【効果】カードを出す順番がリバースする

 

【能力名】無し

【効果】無し

 

【能力名】スペ3

【効果】スペードの3は、ジョーカーより上位となる

 

【能力名】死者蘇生

【効果】4を出した枚数だけ、墓地よりカードを手札に加える

 

【能力名】ゴーレムの眼

【効果】5を出した枚数だけ、次の順番の相手の手札の、最も強いカードを見ることができる。(革命時なら、革命状態での最も強いカードを見せる)

 

【能力名】強制ロック

【効果】通常、同じマークのカードが二枚続けばそのマークでの”縛り”が適用されるが、6のカードの場合は単体で”縛り”が発動する

 

【能力名】七渡し

【効果】7を出した枚数だけ、次の順番の相手に手札からカードを渡せる

 

【能力名】八切り

【効果】8を出した時、そのフェーズは強制的に流れる

 

【能力名】クーデター

【効果】9を三枚出した時、強制的に革命状態となり、継続する。

 

10

【能力名】10飛ば

【効果】10を出した時、次の順番の相手が飛ばされる

 

【能力名】イレブンバック

【効果】Jを出した時、その局面のみ革命状態か通常かを選択できる

 

【能力名】クイーンの微笑み

【効果】”縛り”状態であっても、Qはマークを問わず出すことができる

 

【能力名】絶対王政

【効果】八切りを阻止することができる。革命状態は無効。

 

ぜひ、このルールで遊んでいただきたい。

初手から、ワクワクが止まらないことだろう。

 

(了)