お世話になっております。
クリスマスも終わって、もうすぐ大みそか。今年観た演劇でも振り返ろうかしら、と思ったけれど、無精者の僕はチケットを保存しているわけでもなく。まめに記録もしていないので、何を観たのか微塵も思い出せない。もちろん、何もかも忘れているわけではないが。
「そういえば三重で観たハイバイのヒッキー・カンクーントルネードが最高だったなぁ!」と思ったら、去年の夏の話だった。去年の夏って、去年の夏やないか!そして「いやいや、今年や。今年はなァ、何が面白かったっけなァ…」と振り返ると、KUNIOのエンジェルス・イン・アメリカが出てきた。調べると、2011年の公演。何なんだ俺は。時の旅人か!
というのは、ま、冗談だけれど。
多分、最低でも今年も30本くらいは観ているはずだと思う。「あまり劇場に足を運ばない不勉強人間」を自称しているが、年間30本も観れば十分だろう。いわゆる「観劇おじさん」は年間100本や200本観ているが、ありゃどうかしている。僕らとしては、そんな「観劇おじさん」をぶちのめして、「あァ…!もう匿名劇壇だけ観てたらそれでいいわ…!っていうかもう今後、演劇観なくていいや…!カ・イ・カ・ン…!」とさせることを夢見て取り組んでいるが、「観劇おじさん」はまた劇場へ歩く。悔しい。
(※なんで演劇をやっているくせに、「今後もう演劇観なくていいや」と思わせたいのかは僕自身も意味がわからないし、多分ほとんどビョーキなので放っておいてください。)
(※また、この「観劇おじさん」は非常に抽象的な、概念としてのおじさんなので、実在の人物・団体とは一切関係ありません。)
(※つい最近なぜか血迷ってまた「セーラー服と機関銃」を観たけど、ほんとこの映画ワケわかんねェな。ゴダールやん、もうこれ。フランス映画やろ、もうこれ。サイコー。)
さくっと思い出せるのは、この三本。
劇団子供鉅人「真夜中の虹」
庭劇団ペニノ「ダークマスター」
iaku「車窓から、世界の」
iakuは最近観たものなので、記憶に新しいのでちょっとズルいが、まァさくっと頭に浮かんで、「面白かったねェ!」と言える作品だ。そんでさらに頭をひねって出てきたのが、これらの作品。
壁ノ花団「水いらずの星」
MONO「裸に勾玉」
柿喰う客「露出狂」
MONOと柿喰う客には劇団員の松原が出演していたのでちょっとズルイが、それを言いだすとiakuにも劇団員の杉原が出演しているので、「iakuがメッチャズルイ!」という論理展開になってしまうため、それはさておく。
この三作品も、「面白かったねェ!」な作品だ。ただこうして書いてみると、わかる。やっぱり、先に思い出した方が、「ビジュアルイメージ」が鮮烈に残っているんだな。「真夜中の虹」なんて、どんな話だったか殆ど覚えていないが、目を閉じればシーンが頭に浮かんでオーバーザレインボウが聴こえてくる。サイコーだぜ。
ダークマスターも、お、すげえな、ダークマスターはわりと衝撃的なシーンがたくさんあったはずだが、一番鮮やかに蘇るのは緒方さんの佇まいだ。この芝居、緒方さん自体はそんなに出ていないのに。すげえな。サイコーだぜ。
ま、さくっとサイコーな6本。充分だろ。大体2カ月に一本というふうに考えれば、「いわゆるフツーの演劇好き」としてはちょーどイイ。今年もいい演劇体験が出来た。
お、おっ。キスインヘルが聴こえてきた。頭の中に。
そうそう、キスインヘルも面白かったのよね!!と思って調べたらこれも去年の夏やんけ。なんやねん、おい。俺の脳の時間の概念ぶっ壊れてんのか。
とはいえ、実際そうなのだ。という話。
ここ三年くらいに起こった出来事は、僕の中で全部いっしょくたになっている。今年一年とかいう単位には、あまり興味がない。漠然と過去、で、漠然と昔、だ。今年の演劇ランキングを考えるときに、「今年作られた、今年観た」というルールでランキングすることにあまり興味がない。別に今年観ていようが去年観ていようがその前だろうが、「今年」のランキングでいいじゃないか、と思ってしまうね。演劇体験が、そんなハイペースで塗り替えられてたまるかよ、と思う。ボジョレーヌーボーじゃないんだから。
今年観た演劇ランキング、と、生涯観た演劇ランキング、は違うでしょ?
でもさ、今年観た演劇は、生涯観た演劇に入るわけだからさ。
なのに、「今年」っていうフレームにしちゃうのが、もったいないよねえ。
だったら毎年、生涯ランキングをつけてさ、
「なんと!生涯ランキングの3位に、今年の○○が入ります!!」っていうランキングの仕方をしたいよね。そーしよっかな。生涯ランキングを作って、来年からそのスタイルで更新するっていうことにしてみようかな。生涯ランキングかァ…。大変だな、これは。
1位は、なんだろう…。
ただなァ…ほんともう…演劇は特に…今では超真面目に観るからなァ…。ほんとに純粋に楽しめてた頃となると、やっぱり在学中に観たものばかりになる気がする。
と、mixiを漁ると、大学入学当時、初めて紅テントを見たときの感想が出てきた。僕は大学に入るまで全く演劇を見たことが無いので、これが初めてのお芝居だ。
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2009年04月26日13:12
紅テント!
かっこええ~!
あっけ~!
やー、面白かった。
観た直後はあんまりピンと来なかったけど、今すごい。
なんか一晩寝て、思い返して、すごいと思える作品。
ただ古臭いけどね。
まあテントでやるあたり、「古臭い」ことにプライドがあるんやろうけどさ。
それとも新しいことが出来ないのかな?
ただの老いぼれかな?
でも格好良かったよ。
尊敬します。
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おい、俺!!!!!
頼むから「古臭い」とか「老いぼれ」とか言わんといてくれ!!!!!
どうした、俺!!!!!
それとも新しいことが出来ないのかな?
って、オイ!!!!!
お前、…お前、マジか!?
お前、ホンマモンの○○○○か!?
こんなもんお前…、tefuくんやないか!?
これほんとに原文ママですよ。今すぐ削除じゃボケェ!
と、ドン引きしたところ、それから半年後にこんな日記を上げていました。最後にその日記を読んでもらって、今日は終わりです。
もちろん、かなりの居た堪れなさがあり、ヤバイです。ただ、確実にちょっと成長してて、あれから7年くらいが経って、今僕は、こんなふうに文章を書いています。大人になったと、褒めて下さい。いや、成長している。俺。良かった。
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2009年10月12日18:55
この前初めて唐十郎に稽古を観てもらった。
死ぬほど怖かった。
終始にこやか。
「ここ、こうしよう?ね?こうしたほうが、いいよね?」
みたいな言葉遣い。
中田カウス師匠みたいな人やった。
(たとえおかしいけどw)
目、見られただけで、心が見透かされた気がした。
っていうか絶対見透かされてた。
あかんわ。
でかすぎる。
最初、俺、頭おかしくてさ。
「唐十郎がなんぼのもんじゃい」
「食われたら負けや。絶対食うたる!」
「ばっちこーい!!」
みたいな心構えでおってんけど。
完全に間違えてた。
小学生とアンディフグやった。
(当たり前やねんけどなw)
むりむりむりむり。
むーりむりむり。
調子こいたら殺される所や。
胸を借りるというか、もう、偉大すぎるから。
「すいません。観てくれるだけでいいです。ほんますいません」
ぐらいの気持ちじゃないと。
あー、緊張した。
でもほんま思うわ。
俺もうこんなんイヤやw
めっちゃしんどいことしてるわ。
部活思い出すもん。
中学の野球なんか、もう…なんもおもんなかったなあ…。
引退試合のとき目カラッカラやったもん。
あんときの俺、サーモグラフィーで見たら真っ青やでw
まあそれを思うと、今回は、終わった後平静でいられそうにないし。
絶対取り乱すし、胸バクバクやろうし、下手したら泣くし。
それを考えると、まあ、楽しいことをさせてもらえてるんやろうけど。
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なんてバカヤロウなんだろう。
でも、
僕はまだ、演劇をやっています。
そして来年も、続けます。たぶん、死ぬまで。
(了)